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中村キース・ヘリング美術館
クィア・フィルム上映会
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ごあいさつ
6月24日(土)25日(日)の2日間、6月3日より開催される 「キース・ヘリング:NYダウンタウン・ルネサンス」展関連企画として、6月のプライド月間の機会に「中村キース・ヘリング美術館 クィア・フィルム上映会」を開催します。
1969年6月28日にニューヨークで「ストーンウォールの反乱」が起きた月として、6月は世界的にLGBTQ+の権利の啓発や認知向上を目指す「プライド月間(Pride Month)」として各地でイベントが開催されています。
ストーンウォールから約10年、「LGBTQ+」という言葉もなく、性的少数者への差別や偏見、抑圧が今よりも強かった80年代に、キース・ヘリングは自身がゲイ男性であることをオープンにしてアーティスト活動を行い、LGBTQ+コミュニティの可視化やHIV・エイズの正しい理解の促進などを目的とした啓発活動を行いました。
当館は、キース・ヘリングの遺志を継ぎ、毎年プライド月間である6月に様々な活動を行なっています。今年は映画上映シリーズ「ノーマルスクリーン」協力のもと、クィア・フィルムの表現を通して「クィアネス(クィアであること)」について考える機会として、初の2日間連続映画上映会を開催します。
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クィア・フィルムについて
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「クィア」という言葉は、元々「風変わりな」「奇妙な」という意味として時にセクシュアル・マイノリティの人々に対する差別的な言葉として使われてきました。 現代では「クィア」という単語はジェンダーやセクシュアリティにとらわれない多様な存在を包み込む大きな傘のような言葉として使われています。クィア・フィルムとはそうしたクィアというアイデンティティやコミュニティーを題材とし、同性愛や異性愛、両性愛などの言葉には当てはめることができないセクシュアリティのあり方を、さまざまな視点や手法により表現する映像作品です。
「虎の子 三頭 たそがれない」監督:グスタボ・ヴィナグリ|2022年|ブラジル
80年代の若者の恋愛像、近未来社会劇、音楽、ダンス…中村キース・ヘリング美術館ならではの視点でセレクトした日本初公開を含む6作品を2日間終日上映します。
多様な「クィアネス(クィアであること)」を紹介するため、当館ならではの視点で4カ国、6本の映画を選定。キース・ヘリングと関係の深いダンサー・振り付け家のビル・T・ジョーンズのダンスで紡がれる作品『無題』や日本の馴染み深い風景と柔らかな歌声、音楽とともに描かれる『ビバリー・グレン=コープランド (In the Making)』、政治への鋭い批判とフィクションを織り交ぜた日本初公開作品『虎の子 三頭 たそがれない』など、中村キース・ヘリング美術館によるプログラムだからこそご覧いただけるラインナップです。
メイン会場である特設会場ではアニメーション、ドキュメンタリーなど4本の短編作品合計約70分を終日連続上映。好きな時間から鑑賞することができますので、クィア・フィルムやプライド月間に興味があるけれど、足を運べていなかったという方でも、旅の予定に合わせて気軽にお立ち寄りいただけます。
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