会期:2023年6月3日(土)-2024年5月19日(日)
会場:中村キース・ヘリング美術館 自由の展示室
●展覧会について
本展では、衣裳デザイナー、スタイリストとしてエミー賞受賞やアカデミー賞ノミネートなど華々しいキャリアを誇るパトリシア・フィールドが、半世紀の歳月をかけて蒐集したアートコレクションをご紹介します。
Patricia Field Store at 10 East 8th Street, NYC 1986, Photo by ©︎Tina Paul
ニューヨークに生まれ育ったパトリシア・フィールドは、24歳の時に初めて自身のブティック「パンツ・パブ」をオープンしました。このブティックは、のちに自らの名を冠した「パトリシア・フィ ールド」となり、イースト・ビレッジを中心に移転を繰り返しながら「ハウス・オブ・フィールド」と呼ばれるコミュニティを形成していきました。「ハウス」は、1970年代以降のニューヨークのアンダーグラウンドシーンで、黒人やラティーノのLGBTQ+コミュニティで「従来の枠組みに囚われず生活を共にする集団がその結束を示す言葉」として使われてきた言葉です。現在も「ハウス・オブ・フィールド」には、パトリシア・フィールドを中心に、彼女のブティックに所属するスタッフやデザイナー、アーティスト、美容専門家、彼女を慕う人々によって構成され、ブティックの重要な要素として変遷を辿りながら現在も維持されています。
このブティックの特徴は、壁やショーウィンドウ、試着室の扉にいたるまで空間全体を彩る個性豊かなアートでした。ハウスにおける母親的存在であったフィールドは、作品を購入し展示することでアーティストたちを支え、アーティストたちもまたフィールドに敬愛の意を込めてポートレートを贈りました。
半世紀にわたって親しまれてきたブティック「パトリシア・フィールド」は、2016年春に惜しまれながら閉店し、このアートコレクションの主要作品約190点が中村キース・ヘリング美術館に収蔵されました。これらの作品は、人間の欲望を包み隠すことなく、むしろそれを誇張しながらポジティブなエネルギーに変換し、自分らしく生きることとは何かを問いかけてきます。パワフルな作品やフィールドを取り巻く人々の煌びやかな装いは、社会構造がもたらす人間の醜さから自らを守る鎧であり、それを身に纏っているのは不条理な社会の犠牲になりながらもそれに抗い続ける人々なのです。
Patricia Field
パトリシア・フィールド
ニューヨーク生まれ。「プラダを着た悪魔」や「セックス・アンド・ザ・シティ」、「エミリー、パリへ行く」など世界的なヒットを記録した映画やドラマの衣装デザイナー、スタイリストとして知られる。ニューヨーク大学で哲学と政治学を学んだのち、1966年に自身の初となるブティックをニューヨーク大学付近のワシントンプレイスにオープン。2016年に惜しまれつつブティックを閉店後、「着るアート」をコンセプトとしたブランド「パトリシア・フィールド・アートファッション」を展開し、ファッションだけでなく大衆文化に多大な影響を与え続けている。
Patricia Field at Paris DuPree Ball at Trax, NYC 3/12/89 photo by ©Tina Paul 1989 All Rights Reserved
●出品作品
ポール・チェルスタッド
《1988年に行われたパット・フィールドのファッションショーのための壁画》
1988年
オーラン
《パトリシア・フィールドのポートレート》
制作年不詳
アーティ・ハック
《イマジネーションを呼ぶあなたのための鏡》
2008年
マーティーン
《カット・アウト・ガール》
制作年不詳
リチャード・アルバレス
《レス゠ビヨンド》
2008年
●展覧会概要
ハウス・オブ・フィールド展
会期:2023年6月3日(土)-2024年5月19日(日)
休館日:定期休館日なし
※展示替え等のため臨時休館する場合があります。
開館時間:9:00-17:00(最終入館16:30)
観覧料:大人 1,500円/16歳以上の学生 800円/障がい者手帳をお持ちの方 600円/15歳以下 無料
※ 各種割引の適用には身分証明書のご提示が必要です。
住所:408-0044 山梨県北杜市小淵沢町10249-7
主催:中村キース・ヘリング美術館
後援:米国大使館
特別協力:パトリシア・フィールド・アートファッション